キムチ鍋の底に一筋の・・・

1ヶ月前までほとんど悩みなど無かったのに、どうも最近悩みが増えてきた。公開できる悩みをここに列挙すると、鼻がかゆい。パスタがきれかけている。時間がない。研究会を継続しようか迷っている。彼女ができない。友人に彼女ができた。イチローの打率が低い。車がほしいが金がない。家にエアコンがない。梅雨だ。おもしろい映画に出会ってない。話すことが無い。バイトが遠い。バイトがうざい。数人に秘密を握られている。化粧がのらない。家が散らかっている。姪っ子がまともに成長してるとは思えない。心が揺さぶられない。泣けない。靴が破れた。ズボンが破れた。寛容さが欠如している。近所のガキが生意気。阪神が夏バテしたらやだな。髪が伸びてきた。今目の前にいるかわいい子に声をかける勇気がない。おもしろいことを思いつけない。横にいる奴の口が臭い。俺の口がさわやかという保証もない。

土曜あたりに「アビバの場合」とかなんとかゆう映画を見に行って、ちょー微妙に笑ってそのあと所沢の友人宅に行ってなにをするともなくうだうだすごす。そういう時間が最近無かったことは忌むべきことで、それで友人のしょうもない話に耳を傾け、俺の一見深刻な話に耳を傾けてもらった。友人は男前な顔をしているくせに体臭をやたらと気にしたり変態チックなところがあるのでいまだ童貞で、哀れやな、とそういう風なことを言うだけ言って帰ってきた。その友人にはイタリア人の留学生の友達がいるらしく、そいつに「オメエ、ヤッパクセーヨ」と言われたのに結構傷ついたがなんとなくワロタと言っていたのでそのイタリア人はなかなか面白い奴だなと思った。その後は家に帰ってなんとなく近所を散歩した。そうしたら同じマンションのガキが泣いていたので、これは彼のお母さんの私に対するイメージを上げるのにうってつけだと思い、「どうしたの?」と話しかけたら「お母さんにいじめられたの」と言ったのでそれなりに慰めてあげたら泣きやんで、子供っていいなあーって思った。しばらくそうしているとそのガキのお兄ちゃんがやってきて、「友達3人で住んでるんだよね?」と聞かれ、「女の人もいるでしょ?」と聞かれ、「うんいるよ」と答えると「大変じゃない?」ってガキが聞いてきたので、最近のガキはませてるなと思いつつ、主婦の情報網の素早さと誇張加減を考慮して、「楽しいよ」と答えておいた。

その後友人が2人ほどやってきてパーティーっぽいことを開催して、うだうだと流れる時間となんとなくかっこいいのやらかっこよくないのやらっていう音楽に身をゆだねた。夕食はみんなで糞暑いにも関わらずキムチ鍋を食し、真っ赤に濁ったスープの中から一筋の希望を見出そうとその場にいた誰もが躍起になっていた。

しかし絶望的な我々は、キムチ鍋の底に、なにも見つけることはできなかった。

(6月20日 23時18分)