珍しくテレビ批評するが、やっぱあの故人はすごい。

最近の私が憂慮しているのは、今年の末のM−1グランプリである。今年末のM−1は、もしかしたら最高につまらないものになるんじゃないかと憂慮しているのだ。なぜこんな2月の頭に10ヶ月も先のM−1のことを書くのかというと、チュートリアルが優勝した瞬間に私の頭は次の不安を抱き、どこかに書き記しておかなければ、と思ったのだ。今回はガチでM−1のことを書いているので、そこんとこご了承ください。

ここ数年の流れからして、一回のM−1で、本当に面白いのは1組か2組という流れができあがっている。去年も爆発的に面白かったのはチュートリアル一組だったし、おととしもブラマヨ一組だった。もちろん他のコンビもそこそこ面白い。そして技術があるコンビも多い。だからM−1の決勝進出者を選ぶ審査員はお笑いブームとは距離をとっただいぶまともな人間である。しかし、腹を抱えて笑えるのは、毎年多くても2組だ。2組以上面白いコンビがいたためしは、ほとんど無い(03年は唯一、フットと笑い飯アンタッチャブルの3組面白いコンビがいた)。ただ、忘れてはならないことは、確実に毎年1組は、本当に面白いコンビがでてくるから、M−1は人気があるのだ。

しかし、M−1では毎年、面白いコンビが優勝しては次々といなくなり、その時に次点として面白かったコンビが次の年、繰り上がり的に優勝してしまうという形もできあがっている。例えば、ますだおかだが優勝した年に2位だったフットが次の年に優勝し、フットが優勝した年にフットの次に面白かったアンタッチャブルが次の年優勝した。(本当はフットの次、いやフットより笑い飯が面白かったのだが、彼らは03年で燃え尽きてしまったようで、もう2度とあの頃の面白さは取り戻せない)さらに、ブラマヨが優勝した年に、その次に面白かったチュートリアルが06に優勝した。(05のチュートリアルの順位は5位だが、面白さは2番目だった)そんな形で繰り上がり型の優勝が、M−1ではよく見られる。(例外は、初決勝のブラマヨが優勝した05年だけである。

そこで今年末のM−1を考えるのである。去年のM−1、チュートリアル島田紳助いわく、爆発した。2位になったフットとはだいぶ差がついた優勝だった。また、フットは優勝経験者だ。3位が麒麟である。麒麟の漫才は安定こそすれ、爆発力などまったくない。さらに最近では田村の貧乏話があまりに面白いので仕事も増え、漫才に費やす時間は減るばかりである。4位以下はどれも大したことなく、今年中に大化けしているようなコンビは見当たらない。よって以上のことから勘案するに、今年末のM−1は3つの可能性が考えられる。

1、去年から実力をあげたコンビ(麒麟笑い飯は無い)もしくは漫才の新星が現れ、去年のチュートリアル並みのウケをとって優勝する。「フット、アンタ、ブラマヨ型」
2、チュートリアル、フット、ブラマヨのどれかが出場し、実力を見せ付けて優勝する。前例無し
3、優勝経験者は出場せず、毎年優勝候補にあげられる麒麟とか笑い飯がそこそこの笑いをとって優勝する。「ますだおかだ型」

この3つである。
1は、今の私にはそういう目星のあるコンビは存在しない。去年ならば、チュートリアルが可能性があるだろう、と誰もが思っていただろうが、今年に限っては、本当に誰もいない。神奈川在住の私は関西の笑いを把握しきれていないが、いまの関西にM−1に優勝するほどのコンビはいないと思う。とろサーモンは決勝まで行く可能性はあるが、すかし漫才では優勝できない。関東は関東で、欽ちゃんやコント赤信号など、昔っからコントを主軸とした笑いが育つのである。さらに関東人はシュールな笑いにも寛容なので、シュールなコントをするような芸人がウケる。よって関東では漫才芸人はなかなか育たない。何組か関東にも漫才ができる奴がいるが、M−1で大うけするような奴は絶対にいない。つまり、西にも東にも、M−1でドカーーンと来るような芸人はいない。だから1が実現するのは難しい。
2は、ありうる。チュートリアルもフットもブラマヨもコンビ結成10年経っていないので出場できる。しかし、ありうるが、どのコンビも出ないと思う。どのコンビもM−1を機に一気に仕事が増え、ネタあわせを真剣にする時間はない。唯一でるとすれば、このまま泣かず飛ばずで終わりそうなフットボールである。しかし、去年のM−1でも分かるようにフットも昔ほどは面白くない。
3は、一番可能性が高い。もういい加減麒麟笑い飯に優勝させてやってもいいと思う。また、前述のように、特に新星がでてこなければ(その可能性が高い)、彼らの漫才のレベルで優勝できてしまうのだ。彼らだってもちろん面白いが、麒麟は第一回のM−1の時が一番面白かったし、笑い飯は03年のネタを越えるものは出来ないだろう。そういう意味で、視聴者の期待に比べて、盛り上がりに欠けるのだ。

以上、今年のM−1は3の結果になると思う。だから、そのことに気づいているM−1のスタッフは、必死でフットとブラマヨチュートリアルに出演の依頼をするだろう。そして、それが成功すれば2の結果になる可能性が高い。一番望ましい1は、なかなか難しいと私は思うので、次のM−1が心配で仕方ない。しかしよくよく考えてみると、第二回のますだおかだが優勝した時は、なんかなーみたいな感じの優勝だったので、まあそんな年も一年くらいあってもいいんじゃないかとも思う。08年のM−1に期待だ。

ちなみに、どうせ優勝しないけど、俺なら優勝に匹敵する点数をあげるのは、ストリークジャリズムや!!