パンツよ乾け

魔女裁判にかけられたドレスデン地方の石塚さんはその大柄なフォルムとは裏腹に繊細な心を持っていた。そのためにしばしば役人からは呼び出しと見た感じにあわせろという注意をうけていたがいかんせん田舎の中上流家庭の子供にありがちな神経質な性格は直りはしなかった。ある日役人Aがやってきて石塚さんにこう尋ねた。「君、音楽は好きかね?」と。石塚さんはまたなにかの罠ではないかと訝り、しばしの逡巡のあとこう答えた。「私は音楽など好きではありません、私はプロテスタンティズムの精神にのっとり労働を尊いものと考え、無駄な趣味などは持たないようにしております。そしてその労働で得た富をお上さまに奉納することが、私の唯一にして最高の務めであります」と。すると役人はいぢわるそうな顔でこう言った。「ではこのフジロックのチケットはなにかね?」ギクッ!!こうして石塚さんは数ヶ月の魔女裁判の後、精神を衰弱させ自らくびれてしまった。彼が一刻も早くフィールドオブヘブンに舞い降りることを祈ります。