延々と、ジャズ

今日は、西梅田にあるジャズバーにジャズライブを見に行った。ジャズ好きな私だが、彼女の親戚がボーカルをやるというので、誘われて行った。入るとそこは薄暗いこじゃれた、すこし高そうな店で、ステージではどーやら彼女の親戚のえっちゃんが既に歌っていた。ジャズボーカルとしてそこまでうまくはないけれども、とても素敵な笑顔で歌うので、そーゆー歌い手こそがいい歌い手なんだろうと、笑顔で相手の技を全身で受け止めてやるプロレスラーがいいレスラーなんだろう、とそんなこと考えてる隙に彼女がドリンクを注文していて、セックスオンザビーチを頼んでいたので、これは今夜OKということなのか!?と中学生のような妄想をふくらましていた私ですがそんなことを考えてる間にもしっかりと弱い酒をチェックして、スプモーニを注文したのでした。
1ステージ目が終わり、えっちゃんと初対面。私は今日もしそのえっちゃんというジャズボーカリストと話す機会があって、「ボーカルだったら誰が好きですか?」と聞かれたらこう答えるというマニュアルを用意していた。私は昔のジャズばかり聞くが、エラやビリーホリディではありきたりすぎるし、ヘレンメリルでは大人っぽすぎるし、それ以上ディープなのは知らんので、ずばっとアニタオデイだと言うことにしていた。アニタだと一種のかわいさも含んでいるしそこそこのチョイスでもある。そして、「あらーきてくれたんやー!」と大阪のミドルエイジの女性(おばはんの一歩手前)えっちゃんが寄ってきて、互いに自己紹介をして「音楽好きなんですか?」と聞かれたので自信満々で「ジャズすごい聴きます」と言った。そしたら「いやーこわいわ、ひどい歌やったら耳ふさいどいてな」とか言われて笑笑。そんで遂に、「ジャズはなに聞くんですか?」「なんでも聞きますよ」ボーカルとか聞きます?」きたきた。「聞きますよ」「誰か好きな人とかいます?」「アニタオデイっすかねえ!」うら!!どやえっちゃん!!「うわ、渋いとこ聞きますねえ!」かっかっか。
そしてそれから2ステージ目がはじまった。どうやら今日はピアノとボーカルのみらしく、さらに選曲はスタンダードナンバーばかりで、ジャズのジャの字も分からん彼女も、この曲知ってる!!とうきうきしてた。
そんでやっぱこういうジャズバーでジャズライブを見る醍醐味は、グラスに氷が当たる音や、皿とフォークがぶつかる音、さらには客の話し声などの喧騒が、ジャズの演奏とセッションをするという点。ビルエヴァンストリオの「ワルツフォーデビー」だって、ヴィレッジヴァンガードの客たちの喧騒やグラスとグラスが重なる音がそのアルバムをより素晴らしいものにしているわけだし。そういうわけで僕は曲に合わせてグラスの中の氷をカランカランやってみる。目の前にいる彼女はそんなこと気にもとめていない。それでいい。店の誰しもが食器が重なり合う音、そしてグラスの音でセッションに参加している。ジャズライブというものはまさにそういうものなんだろうと思う。
帰りはラブホには寄らずまっすぐ帰ってダビスタをした。東京にも、行きつけのジャズバーと、一緒に行ってくれる子がほしい。